小江戸・川越

 コンサートの初日、特に新バージョン(構成)でのスタートは言葉では表現できないほどのプレシャーが圧し掛かる。余人には理解できない事だろう。緊張と不安と自分自身へのイライラが募るばかりだ。ツアーともなればそれが毎日やってくる。これからも続く民音のコンサートツアーはどんな風に変化していくのだろうか?落ち着いたステージをご覧頂くには今しばらく時間がかかるだろう。「余裕のステージ」なんて今まで、いや、これから先もやって来るはずはないのだが、お客様に楽しんでいただき、「歌」を通じて生きてる事の素晴らしさを少しでも感していただけたら・・・、と、考えている。それが僕たちの仕事!

 2月5日(木) 8〜9時頃起床してシャワーを浴びる。コーヒーを飲んだり新聞に目を通したりTVを観たり、12時過ぎに朝昼一緒の食事でレストランへと向かう。いったん部屋へ戻り草加市までの時間を考慮してホテルを出発する。会館到着後は舞台監督、音響、照明などそれぞれの担当者との簡単な打ち合わせだ。16時過ぎにバンドとの音合わせ(リハーサル)が始まる。この日は約1時間ほどで終了し、17時からはステージングに関する最終の打ち合わせがあった。開場は18時で開演は18時30分、僕たち二人はステージ前には食事をしない習慣になっているので閉演までは水分補給だけである。20時40分、無事ステージを終了する。着替えを済ませて会館を出たのは21時過ぎでホテルの部屋に到着したのは約1時間後の22時10分頃だった。明日は移動日(休日)、気分はリラクッス!事務所のスタッフが探してくれた「日本酒お燗器」に持参の新潟産「朝日山」をいっぱ〜い入れて熱燗になるまで待った。まずはひとくち・・・、たまらなく美味しく感じた。ルームサービスがないので酒の肴は楽屋へ届けられる夕食のお弁当とマネージャー差し入れの家庭の味の「つまみ」数品だった。杯を空けながら、その日のステージを録音したMDと東京よみうり会館で録画したDVDを交互に観たり聞いたりの僕達二人だけの「反省会」が深夜まで続いた。そう!そんな時間が僕のストレスを解消してくれる。自分の神経がゆっくり緩んでくるのが実感でき、又、新しいアイディアが浮かんだりする不思議な瞬間なのである。その他、あえて僕のストレス解消法を言うならば宿泊ホテルとその場所(ロケーション)にこだわる事だろうか。僕は数年前から、埼玉県内の仕事で帰宅が遅くなる場合には本川越にあるPホテルに宿泊する事に決めている。都会のホテルと違って何から何までとはいかないものの、ホテルのスタッフの親切な応対、部屋からの眺め、食事の美味しさ、それにこの町がもっている独特の「懐かしさ」が僕の心をより一層に癒してくれる事が一番の要因だったからだ。関東近郊、埼玉県が中心だった今月のツアー、加須市と多摩市への移動を除けばすべてがスムーズに移動できる川越、僕はもちろんPホテル宿泊を決めていたのは当然で6泊7日の滞在はすでに始まっていた。翌日6日、以前から「小江戸・川越」の町並みを散策してみたかった僕たち二人は市内へと足を向けた。本川越の駅前を渡り一本向こうの通りには商店街が続いている。デパート、スーパー、日用雑貨店、飲食店はじめ、ありとあらゆるお店が軒を連ねている。そんな雑踏とは逆に少し歩くと時計台、菓子屋横丁、門前横丁など昔さながらの情緒を残した一画もある。僕たちはお寺へお参りをして菓子屋横丁へと入っていった。すれ違う観光客の中にはアジア系の人達も大勢見かけた。表通りを一本入っただけで静寂を感じる。のんびり・・・、のんびりと時間を楽しむことができた。緊張が続いたこのところのスケジュール、今日のお休みは僕たちにとって貴重な時だった気がする。

時計台

元町郵便局

 来月もコンサートツアーは続く。冒頭にコンサートのプレシャーは余人には理解できないと書いた。でも、仕事を終えて酒を飲んで雑談に反省会、散歩に散策にウインドウショッピング、当たり前のような事だが僕たちのストレス解消法はごく普通、この事は誰にでもご理解していただけるのではなかろうか?今回のBS「マツチャン」は「小江戸・川越」での一日を、つれづれなるまま・・・そこはかとなく・・・綴ってみた。

菓子屋横丁